プラスチック加工機 技術情報
高周波溶着とは

プラスチック素材、フィルム、シートなどの電気的絶縁体に、電波の一種である高周波の強い電界を与えると、分子レベルでの衝突・振動・摩擦が物質の内部で発生します。そこで自己発熱が生じてフィルムが融合、溶着されます。

■高周波誘電加熱により発生する電力

高周波誘電加熱により誘電体中で消費される単位体積当りの電力(P)は、左式で求められます。発生する電力は、周波数(f)、被誘電率(εr)と誘電体損失角(tanσ)の積である損失係数(εr・tanσ)、電解強度(E2)に比例します。

表-1は、代表的な熱可塑性プラスチックの物性ですが、周波数と電解強度を一定とした場合、損失係数が高いほど効率よく発熱されます。

表-1 熱可塑性プラスチックの物性

■高周波溶着のメカニズム

プラス電極、マイナス電極を溶着する箇所や形状に合わせたものを高周波金型といいます。これに挟まれた樹脂、フィルムが高周波電界により発熱します。基本的には、挟まれた部分が全体的に加熱されることになるのですが、電極自体を常温と仮定すると、温度差が発生します。放熱と温度差により、左図のような温度分布になり、溶かしたい部分を選択的に加熱するという理想的な結果が得られます。この特長により、溶着表面や、その周辺に熱による影響(劣化や伸縮)を抑えた美しい仕上がりの溶着が可能となります。