マイクロ波加熱
マイクロ波加熱の特徴(2)

5-1 長所(前ページより続く)

発振周波数
(MHz)
発振出力
(kW)
発振効率
(%)
発振機効率
(%)
総合マイクロ波
吸収効率(%)
用途
2450 0.4~0.8 75~80 67~72 46~50 電子レンジ用
1~2 65~75 58~67 40~47 業務・工業用
3~6 62~68 55~61 38~43 工業用
915 25~100 70~80 63~72 44~50 工業用

*発振効率=(発振出力)/(発振管への供給電力)*100(%)

*発振機効率=(発振出力)/(発振機への供給電力)*100(%)

*総合マイクロ波吸収効率=(被加熱物に吸収された電力) / (発振機への供給電力)*100(%)

表6.5.1 各種マグネトロンの発振効率、発振機効率、マイクロ波吸収効率

表6.5.1 の総合マイクロ波吸収効率が従来の加熱方式の総合効率と比べ高いか…?低いか…?だが、それぞれの加熱法の熱源を得る方式により効率は異なり一概には言えない。熱風を得る場合、重油などを燃焼して蒸気を発生、蒸気から熱交換により熱風を得て被加熱物への熱伝達を考慮した場合、良くても10%程度を言われており、これと比べればマイクロ波加熱の総合マイクロ波吸収効率は高いと言える。

話は逸れるが1997年12月に開催された「地球温暖化防止京都会議」で決められた京都議定書(気候変動に対する国際連合枠組条約の議定書)によって温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)、一酸化窒素(N2O)、メタンの排出を抑制削減する内容が盛り込まれている。これを遵守しようと悪戦苦闘していることは周知の通りである。ここで比較的エネルギー収支効率の高いマイクロ波加熱装置について検討してみたい。マイクロ波加熱装置のユーテリティは主に電気であって、装置側からのCO2の発生はあまり無くクリーンと言える。但し、電気を利用する上で火力発電所ではCO2が発生し排出するが、このCO2排出管理は電力供給元である電力会社が、原子力発電や自然エネルギーなどを用いた発電などと組み合わせて効率良く一括管理対応能なことが最大のメリットと言える。マイクロ波加熱装置の場合、これを謳い文句にすることも悪いことではないと考えている。ガスや蒸気などを利用した加熱装置では、個人・一企業での排出管理対応となり限度がある。以上、温室効果ガスの排出量を知ることは、地球温暖化防止の観点から重要課題で、この視点からマイクロ波加熱装置が売り込めないか…?と考えることも重要と言える。

③ 加熱電力の発振「入り・切り」及び「出力制御」が容易で応答が早い。

作業開始時の装置立上げ、終了時の停止、加熱・乾燥処理時の温度調節を行なうためのマイクロ波出力のON―OFF及び出力制御などは、全て電気的制御で簡単に行え作業性が良く、応答速度も非常に早い。

従来の熱風炉は、作業開始時には事前に加熱炉を予熱しておく必要があるとともに、作業終了時も熱源を切った後、加熱炉が冷却するまで待つなどの無駄な時間が付きまとうことになる。更に、温度を短時間に変えようとしても、熱源や加熱炉などの熱的イナーシャが非常に大きく、設定温度など瞬間的に変更対応することも不可能である。