導波管
方形及び円形導波管 方形導波管 遮断波長、遮断周波数

3.方形及び円形導波管(2)

3-1 方形導波管

(2) 遮断波長、遮断周波数

しかしながら、どのようなマイクロ波でも前記のように伝わるとは限らず、導波管の長辺寸法aにより伝送される電波の周波数は左右されてしまう。即ち、導波管の寸法「a」が波長の半分以下では電波は進行しない。この限界波長を「遮断波長λc」といい、図10.3.3のような導波管では(10.3.1)式により表せる。

λc=1/ (cm)  ・・・・・(10.3.1)

ここで、m,nはそれぞれのX方向及びY方向における波の数を示しており、これをモ-ド数と呼んでいる。

一般的にHmnモードで表わすが、特に導波管内を進行することが出来る、最も周波数の低い伝送モ-ド(m=1,n=0となる)を一般に基本波H10モード(主モ-ドとも称す。TE10とも表わす)と言っている。

図10.3.3 方形導波管の基本寸法図

導波管の「a」寸法から伝送不可能な周波数、波長が決まるが、基本波の遮断波長λc、遮断周波数fcは、
λc=2*a (cm) ・・・・・(10.3.2)
fc=Vc /(2*a) (Hz) ・・・・・(10.3.3)
となり、Vc は光の速度(3×1010cm/s)である。

尚、基本モードであるH10のマイクロ波が伝送される導波管寸法「a」と自由空間波長λoの関係は、
(λο/2)< a <λο
となり、本条件が成り立てばマイクロ波エネルギーは基本モード(H10)で伝送されることになる。従って、導波管の寸法「a」がλο/2以下であればマイクロ波は伝送されず(カットオフ寸法)、λο以上であれば複数のモード(高次モード)が発生し伝送効率は著しく低下することになる。

☆補足説明:E波・H波モードについて

電波の送り方により下記の2通りの表現方法がある。

*E波(TM波;磁気的横波 Transverse Magnetic Wave。伝播方向に電界成分がある。Emn=TMmn
*H波(TE波;電気的横波 Transverse Electric Wave。伝播方向に磁界成分がある。Hmn=TEmn)