高周波誘電加熱の応用例
低レベル放射性廃棄物処理用バッグのハンドシーラ

原子力施設で発生する低レベル放射性廃棄物の処理において、廃棄物を塩化ビニルシート(PVC)の中に廃棄物をいれ、両端(片方はあらかじめシールされている)を高周波溶着することで密封して廃棄処理する方法があります。

溶着自体は、一般的な高周波ウェルダーであれば可能ですが、この処理は原子力施設内の廃棄現場で行われるため、装置自体が小型で可搬できること、かつ溶着が誰にでも簡単にできることが求められます。これらに対応するため溶着部である一対の電極をはさみ式とした小型高周波ウェルダー「ハンドシーラ―」が実用化され普及してきました。

しかし、これらのウェルダーは高周波発振器及び電極部から漏洩する電磁界に対しては、十分な対策がなされていなかったため、施設内の放管機器へ悪影響を与えるなどの問題がありました。そこで近年、施設内機器へ影響を与えない「低ノイズ高周波ウェルダー」として発振器をトランジスタ式とした小型のハンドシーラが実用化されました。本ハンドシーラは、従来品に対して、ノイズ対策だけではなく発振機の小型軽量化、ハンド部の操作性、耐久性、溶着性能や溶着品質安定性などに優れており、現在様々な低レベルの放射性廃棄物がでる原子力関連施設で広く使用されています。次に特徴をまとめます。

① 小型化
トランジスタ発振機を採用することで、発振機サイズおよび重量を大幅に小型軽量化、運搬性を向上させました。

② 高効率化
溶着効率を向上させ、高周波出力は従来品の約1/3と省電力化しました。

③ 使い易さ
ハンド部は、トグル機構により軽い力で強い把持力が出せます。また、持った時のバランスや重量感などに注力し、操作性を向上させています。

④ シリーズ化
溶着幅に応じて、300W(シール幅75㎜)、600W(幅150mm)のみでしたが、700W(幅200mm)、1kW(幅300mm)と4種類のバリエーションがあります。