ハイパーサーミア
(がん温熱治療)の仕組み

なぜ「熱」でがんに
アプローチできるのか

ハイパーサーミア(温熱療法)は、「熱」を利用してがんにアプローチする治療法です。
しかし、一体どのような技術を使って、身体の奥深くにあるがんを安全に温めているのでしょうか?そして、なぜその「熱」が、がん治療において有効な一手となり得るのでしょうか?このページでは、まずハイパーサーミアを支える技術に迫り、次にその技術がなぜ効果を発揮するのか、その身体の中での仕組みを説明していきます。

どのように身体の奥を温めるのか

ハイパーサーミアの仕組みは、身体に高周波の「電気の通り道」を作り、その電気抵抗によって熱を発生させるという考え方です。

体を2つの電極で挟み込む
電極の間に「電気の道」を作る
体が「抵抗」となって熱を発生させる
がん組織に熱がこもり、温度が上昇

この「身体を電気回路の一部として利用し、その抵抗で熱を生む」という技術こそが、身体の深部にあるがんを、表面に負担をかけずに温めることを可能にした、ハイパーサーミアの重要なメカニズムです。

なぜ「がん」にだけ効くのか

私たちの身体には、熱くなると血管を広げて血の流れを増やし、熱を上手に逃がす「冷却システム」が備わっています。しかし、がん組織の血管は急ごしらえで未熟なため、この冷却システムがうまく働きません。
そのため、高周波で同じように温めても、正常な細胞は熱を逃がせるのに対し、がん細胞は熱がどんどん溜まってしまい、苦手な温度まで上昇してしまうのです。さらに、正常な細胞はこの冷却システムで守られるため、安全性も保たれます。

正常な血管は熱くなると拡張して放熱する。がん組織の血管は熱くなると放熱できず高温になる。

他の治療との相性

ハイパーサーミアによる治療は放射線治療や抗がん剤治療と組み合わせることで、治療の「相乗効果」が期待できます。

放射線治療との相性

放射線が効きにくい状態のがん細胞は、熱に弱いという性質があります。お互いの苦手分野をカバーしあうことで、より効果的にがんにダメージを与えられます。

抗がん剤治療との相性

身体を温めることでがん組織の血流が一時的に良くなり、抗がん剤ががん細胞にたくさん届くようになります。
いわば、「がん細胞までの道を開いて、抗がん剤を案内してあげる」ような働きです。

ハイパーサーミアと放射線治療を組み合わせると、放射線に強い細胞も弱らせる。ハイパーサーミアと抗がん剤を組み合わせると抗がん剤が効きやすくなる。

がんの「弱点」を、
技術で突くアプローチ

ハイパーサーミアの仕組みを要約すると、「がん細胞が持つ弱点」を、「高周波という技術」で巧みに突くアプローチ、と言うことができます。正常な細胞のように熱をうまく逃がすことができない、という、がん組織の生物学的な弱点、そして、身体の表面に負担をかけず、身体の内側から安全に熱を発生させる、高周波・マイクロ波加熱という物理的な技術。
この二つが組み合わさることで、「がんだけを選択的に温める」という、身体にやさしい治療が実現します。
さらに、放射線治療や化学療法といった他の治療法を力強くサポートする一面も持ち合わせており、その多角的なアプローチが、現代の医療において期待されています。