2-8.高周波誘電加熱とマイクロ波加熱

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  • 原理・基礎知識
  • #2.誘電加熱を起こす電磁波の種類
  • #高周波誘電加熱について

誘電加熱に利用できる電磁波は、周波数が3MHzの短波から30GHzのセンチ波までの帯域ですが、その中でも短波や超短波を利用する誘電加熱と、それより周波数の高い極超短波やセンチ波を利用する誘電加熱は、原理は同じですが機構は異なります。
短波や超短波の周波数帯域(3MHz~300MHz)を利用する場合は、(図2-8-1)の左のように高周波回路をつくり、その回路上の2つの電極間にできた高周波電界に誘電体を置いて誘電加熱します。この方法による加熱を高周波誘電加熱といいます。この技術資料の後半で説明するのは、すべて高周波誘電加熱についてです。
一方、極超短波やセンチ波の周波数帯域(300MHz~30GHz)を利用する場合は、高周波回路をつくるのではなく、発振器より電磁波を放射して高周波電界をつくり、そこに誘電体を置いて誘電加熱します。この方法による加熱をマイクロ波加熱といい、電子レンジはこれを利用したものです。

図2-8-1/高周波誘電加熱とマイクロ波加熱

周波数の違いによる加熱方法の違いを整理したものが(表2-8-2)です。グレーの部分が誘電加熱に利用できる周波数帯域です。

表2-8-2/周波数の違いによる電磁波加熱の分類

なお、誘電加熱より低い周波数を利用する加熱方法に、高周波誘導加熱があります。名称は非常によく似ていますが、高周波を利用している点が共通しているだけで、原理はまったく異なります。
誘電加熱とはこれまで説明してきたように、電流を通さない誘電体に高周波電圧をかけると誘電体分子が非常に激しく反転し、それによって誘電体自体が発熱することです。一方、誘導加熱とは、高周波電流の流れるコイルの中に電流を通す金属棒(導電体)を挿入すると、金属棒が直接コイルに触れていなくても、コイルのまわりに磁界が発生し、その磁界の変化によって金属棒に電流が流れ(電磁誘導といいます)、ジュール熱で導電体自体が発熱することです。

高周波誘電加熱とマイクロ波加熱の機構の違いは(図2-8-1)のとおりですが、周波数の違いとこの加熱機構の違いにより、被加熱物に与える影響や加熱の特徴が(表2-8-3)のように異なります。被加熱物の形状や大きさ、電気的特性、加熱目的などにより、どちらか適した方法を選択することになります。

表2-8-3/高周波誘電加熱とマイクロ波加熱の比較

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