ここまでみてきたように、誘電体の外部から高周波電圧を加えると、誘電体損失によって誘電体自体が発熱します。これは外から加えたエネルギーが熱に変換されていることを意味しますので、高周波電圧が誘電体の中を進んでいくと、進んでいく深さにつれて徐々に発熱しながらエネルギーを減衰させていきます。エネルギーが減少してちょうど半分になる深さを電力半減深度といいます。(図3-9-1)
図3-9-1/
誘電体に投射された電磁波と電力半減深度

半減深度は次式で求められます。


表3-9-2/水と牛肉の半減深度(計算値)

図 3-9-3/水の誘電定数の変化(25℃)

第3章-7でみたように、周波数が高いほど発生する熱量は多く、その分エネルギーは速く減衰するので、周波数が高いほど電力半減深度は浅くなります。(図3-9-3)は、2450MHzと915MHzのマイクロ波の周波数の違いによる電力半減深度を比べたものですが、当然、周波数の高い2450MHzのほうが電力半減深度は浅い結果を示しています。
一般に、電力半減深度の2 ~2.5 倍程度の厚さまでの物体であれば、誘電加熱によって効果的に加熱することができます。
高周波誘電加熱と同じ原理で、マイクロ波によっても誘電加熱を起こすことができますが、マイクロ波は高周波よりも周波数が高いので、マイクロ波の電力半減深度は高周波と比べて浅く、厚みのある物体では中心まで均一に加熱することができません。それに対して、高周波では電力半減深度が深いので、厚みのある物体を均一に加熱することができます。
図3-9-4/マイクロ波の周波数の違いによる電力半減深度の違い

