4-1.負荷電極

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  • #4.高周波誘電加熱装置
  • #高周波誘電加熱について

負荷電極は、被加熱物の形状や特性によってさまざまな形のものが用いられています。
以下では、代表的なものをいくつか取り上げて説明します。

平行平板電極

互いに平行な1 対の平板電極の間に被加熱物を挿入して加熱する方式で、一様な厚みをもつ誘電体の加熱に用いられます。(図 6-7-1)
最も応用範囲の広い電極配置形式で、多種類の被加熱物に利用されます。

図 6-7-1/平行平板電極

平行平板電極には、電極内の製品全体を加熱する全体加熱と、製品の一部分のみに電極をあて部分的に加熱する局部加熱があります。全体加熱の場合は被加熱物全体を加熱するので、木材接着などの場合には接着層以外の部分も加熱されてしまい、エネルギー効率が悪くなります。そのため、局部加熱により接着層のみを選択加熱することがおこなわれます。局部加熱の場合は、平行平板電極に補助電極を取り付けておこなうこともあります。(図 6-7-2)

ビニール溶着用の金型も、補助電極による局部加熱と考えることもできます。つまり、加工有効範囲の大きい平行平板電極に必要加工範囲の大きさの補助電極 (金型等) を取り付けて加熱することにより、装置の汎用性が確保できます。

図 6-7-2/補助電極を付けた平行平板電極

また、平行平板電極加熱の応用として多層電極加熱方法があります。木材減圧乾燥など、限定された空間内により多くの材料を入れて処理能力を上げる場合には、材料を立体的に高く積み、何枚かの電極を一緒に積み込んで給電をおこなっています。電極板は奇数枚で構成され、電極間隔は 500mm 以下(木材乾燥の場合の一般的な目安。周波数と被加熱物により異なる)となるように電極数構成をおこなっています。材料間の電極には給電せずに、電位だけを同一にする役割を持たせた中間電極を使用することもあります。

図 6-7-3/多層電極加熱方法のいろいろ

多層電極の基本構成
中間電極のあるもの
基本構成の組み合わせ

補助電極による局部加熱の応用のひとつに凍結食品原料(牛・豚・鶏などの畜肉、野菜、バターなど)の解凍があります。一般的に食品は、誘電体と導電体の両方の性質を持っています。凍結食品を高周波誘電加熱した場合、誘電損による発熱に加えて、解凍の進行に伴いジュール損(抵抗加熱)による発熱が徐々に重畳されていき、加熱分布が不均一になります。

特に表層部や四隅などのエッジ部は、中心部より解凍の進行が速くなりやすく、いったんこれらの部分の解凍が進むと中心部の解凍は進まず、表層部やエッジ部のみがより強く加熱され解凍ムラ、過加熱、煮えなどの損傷を起こしやすくなります。そこで(図6-7-4)のように対抗する平行平板電極を食品原料より小さい面積とすることにより、凍結食品の中心部に高周波電力を集中させ、表層部やエッジ部の加熱を弱め解凍ムラの少ない品質の良い解凍がおこなえるように工夫しています。

図 6-7-4/食品解凍用の平行平板電極

格子電極

被加熱物の厚みが薄くなると、平行平板電極では所要の電力を投入するための整合をとるのが難しく、無理をすると放電が起こります。(図 6-7-6)のように薄板状の被加熱物に沿って格子状の電極を配置すると、(図 6-7-7)のように、片面格子配列では電気力線が平行に通り、千鳥格子配列では斜めに横切るため、いずれも被加熱物の中を通過する距離が増えて、加熱効率が高くなります。

千鳥格子配列は薄板を移動させながら連続的に加熱するのに適しており、薄板の木材、セラミックス、ゴムシートなどの連続加熱・乾燥に用いられています。片面格子配列は、電極で被加熱物をはさむことのできない(片面からしか加熱できない)箱物の底板の接着や、ドアのフラッシュ接着などに用いられます。

図6-7-6/格子電極 図6-7-7/格子電極の電気力線

ローラー電極

平行平板電極では、円筒状の被加熱材に対しては外周部の電気力線がやや不均一になるので、均熱が不充分になります。そこで、さらに良好な均熱を得るために、ローラー電極が使用されます。材料をタブレット状にして、(図 6-7-8) のようなローラー電極上で回転させると、材料断面を通過する電気力線を均一にできるからです。

ローラー電極加熱は、高品質を要求される半導体、IC などの樹脂モールド用樹脂の予熱に利用されています。また、ローラー型の電極で被加熱物をはさんで高周波加熱をおこない、シートなどを連続的にシールすることも可能です。ただし、ローラーによる連続加熱の場合は、ローラーから出たところでは圧締されておらず、すぐに冷却ローラーで冷却したとしても厳密には冷却工程がとれていないので、美しい仕上がりになりにくいこともあります。

図6-7-8/ローラー電極

リング電極

リング状の電極を格子電極と同様に配列し、リングの中心にロープ等を通して加熱・乾燥する場合に用いられる電極形態です。

リング状の電極では、電気力線はリングに沿って均一に分布するため、加熱を連続的に均等におこなうことができます。ただし、構造上、リング電極の中心に被加熱物を通さなければならないので、利用できるのはロープ状や丸棒状の被加熱物に限られます。

図6-7-9/リング電極

その他さまざまな負荷電極

対向する平板に角度を持たせた電極
円心円筒電極

厚みの一様でない被加熱物を加熱する場合、電極を左端図のように厚みに添わせると、薄い側が過加熱します。真中図のように電極を平行にすると厚い側が過加熱します。一様に加熱させるには、下図右端のような電極にする必要があります。

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